津軽三味線を始めようと思って調べると、「天神」「胴」「駒」など、聞き慣れない名前がたくさん出てきます。楽器を買うときや教室で説明を聞くときに、どこのことか分からず戸惑う人もいると思います。
津軽三味線は、大きく分けて「天神(てんじん)」「棹(さお)」「胴(どう)」の3つの部分でできていて、そこに糸・駒・撥などの部品や道具を組み合わせて弾きます。全長は約1m、重さは約2.6〜3kgで、三味線の中では大きく重い「太棹」です。このページでは、各部の名前と役割、サイズや重さ、素材をまとめました。
津軽三味線の各部の名前と役割
| 部分 | 読み方 | 役割 |
|---|---|---|
| 天神 | てんじん | 棹の先端部分。糸巻きが付いている |
| 糸巻き | いとまき | 糸を巻き取って張りを調整する。3本の糸それぞれに1本ずつある |
| 棹 | さお | 左手で糸を押さえる細長い部分 |
| 胴 | どう | 四角い太鼓のような共鳴体。音を大きく響かせる |
| 皮 | かわ | 胴の表と裏に張る。撥で叩く部分でもある |
| 駒 | こま | 皮の上に立てて糸を支え、振動を皮に伝える |
| 糸 | いと | 太い順に一の糸・二の糸・三の糸。細い糸ほど高い音が出る |
| 東さわり | あずまさわり | 一の糸を棹に軽く触れさせ、「ビーン」という響きを出す仕組み |
| 根緒 | ねお | 胴の端で糸を留めるひも |
天神と糸巻き
天神は、棹のいちばん上にある部分です。ここに差し込まれた3本の糸巻きを回して、糸の張りを調整します。糸巻きは差し込みの摩擦で止まるので、回したときにゆるまず止まるかどうかが大事です。
棹
棹は、左手で糸を押さえて音の高さを変える部分です。津軽三味線の棹は、ほかの三味線より太く作られています。棹の幅は3cm前後が目安で、手の小さい人向けに少し細めに作った棹もあります。
多くの三味線の棹は、上棹・中棹・下棹の3つに分けられる作りになっています(継ぎ棹)。分解して持ち運べるほか、継ぎ目の加工に職人の技術が表れる部分でもあります。
胴と皮
胴は、四角い木の枠の表と裏に皮を張った共鳴体です。津軽三味線の胴は、ほかの三味線より大きく作られています。
皮は、厚くて丈夫な犬皮が中心です。叩く奏法でも破れにくく、太く力強い音が出ます。練習用には、湿度の影響を受けにくく破れにくい合成皮を張ったものもあります。皮は消耗品で、破れたりゆるんだりしたら張り替えます。
駒と糸
駒は、皮の上に立てて3本の糸を支える小さな部品です。糸の振動を皮に伝える役割があり、駒の素材や重さで音の響きが変わります。
糸は、太い順に一の糸・二の糸・三の糸と呼びます。細い糸ほど高い音が出ます。津軽三味線は叩く奏法で糸が切れやすいため、二の糸・三の糸にはナイロンやテトロンの糸を使うことが多いです。
東さわり
三味線の「さわり」は、一の糸をわずかに棹に触れさせて、「ビーン」という響きを出す仕組みです。この響きに二の糸・三の糸も共鳴し、三味線らしい余韻が生まれます。
津軽三味線など民謡の三味線では、棹の裏側に付けたねじで触れ具合を調整できる「東さわり」が多く使われます。
演奏に使う道具
| 道具 | 役割 |
|---|---|
| 撥(ばち) | 右手に持って糸と皮を叩く。津軽三味線の撥は小ぶりで、撥先はべっ甲やプラスチックなど |
| 指すり(ゆびすり) | 左手の親指と人差し指にかける布。棹の上で手をすべらせやすくする |
| 胴掛け(どうかけ) | 胴の上にかける布やカバー。右腕を置く位置になる |
撥の素材や選び方は津軽三味線の撥で解説しています。
津軽三味線のサイズと重さ
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 全長 | 約100cm(正寸)。短めに作った棹は約90〜95cm |
| 重さ | 太棹で約2.6〜3kg(参考:細棹は約1.4〜1.6kg、中棹は約1.6〜1.8kg) |
| 棹の幅 | 3cm前後が目安 |
| 胴の大きさ | 三味線の中でもっとも大きい部類 |
数字は店や作り手、素材によって変わります。体格や手の大きさに合わせて、短めの棹や細めの棹を選べる店もあります。
経験者からのアドバイス
各部の名前は、教室で先生の説明を聞くときにも必要になります。最初は「天神・棹・胴・駒・撥」の5つを覚えておけば、先生の説明についていきやすくなります。細かい部分は、習いながら少しずつ覚えていけば大丈夫です。また、重さは実際に構えてみると意外とずっしり感じるので、楽器を選ぶときは実物を持ってみると安心です。
主な素材
| 部分 | 主な素材 |
|---|---|
| 棹 | 花梨(かりん)、紅木(こうき) |
| 胴 | 花梨 |
| 皮 | 犬皮、合成皮 |
| 糸 | 絹、ナイロン・テトロン |
| 撥 | べっ甲、プラスチック、べっ甲調の素材など |
棹の主な材は花梨と紅木です。紅木は花梨より硬く密度が高く、響きがよく摩耗しにくいとされ、そのぶん高価です。素材による値段の違いは津軽三味線の値段、楽器の選び方は津軽三味線の選び方で解説しています。
まとめ:津軽三味線の構造
| 知りたいこと | ポイント |
|---|---|
| 大きな部分 | 天神・棹・胴の3つ |
| 主な部品 | 糸巻き、皮、駒、糸(一の糸〜三の糸)、東さわり、根緒 |
| 演奏の道具 | 撥、指すり、胴掛け |
| サイズ・重さ | 全長約100cm、重さ約2.6〜3kg、棹の幅は3cm前後が目安 |
| 素材 | 棹は花梨・紅木、皮は犬皮・合成皮 |
ほかの三味線との違いは津軽三味線と三味線の違い、成り立ちは津軽三味線の歴史で解説しています。津軽三味線の全体像は津軽三味線の総合ガイドをご覧ください。

